欠陥を抱える原油先物市場2008/07/04 13:53

 今年に入り原油価格が一段と暴騰して、米議会などでは盛んに投機の行き過ぎを議論することになった。しかしながら、投機の行き過ぎは今始まったことではない。既に2004年~2006年にその萌芽があったといえる。ここに来て、最近の価格暴騰の状況を「第三次石油危機」と表現するアナリストが増え始めたが、私は、原油供給が原油需要を上回っていたのに、ジオポリティックス要因、投機により原油価格が上昇したこの2004年~2006年をその前兆として注目すべきだろうと思っている。私は、この時期を「サイレントクライシス(静かなる石油危機)」と呼んで注意を喚起している。
 2001年には20ドルを割り込んでいた原油価格は、2004年から主にジオポリティックス要因をもとに急騰を始め、原油先物市場は、投機家、大投資銀行が暗躍する場となった。その結果、2004年初めには30ドル台だった原油価格は、2004年10月には50ドル台となり、2005年8月には60ドル台、2006年4月には70ドル台となった。
 2007年以降は、これが更に加速された。2007年後半には80ドル台、90ドル台となったのである。そして、原油価格が100ドル台となった2008年を迎えたわけである。
 確かに20ドル台という原油価格は安過ぎたといえるかもしれないが、現在の140ドル台が高過ぎることは間違いがないし、異常な高水準と言って良いであろう。世界にとって悲劇的であったことは、石油先物市場には行過ぎた投機を管理できないという欠陥があったことである。

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石油価格は需給のファンダメンタルズから遊離し、異常な水準にまで上昇してしまった。
一刻も早く正常に戻ることを願いつつ、その異常な原油価格動向を書き止めることにした。

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