原油価格大暴騰、暴落の年2008/08/24 11:20

 今年は異常な年である。原油価格(WTI期近終値)が7月3日にバレル当り145.29ドルの史上最高値を記録したと思ったら、それからあれよあれよと言う間に7月29日には122.19ドルまで低下し、8月に入ると、さらに低下して8月18日には112.87ドルとなった。実に32ドルを超える値下がりだった。
 その間、何があったかというと需給のファンダメンタルズには特段の差異はなかった。むしろ、グルジア紛争の発生により供給不安要因が追加されたくらいだ。
 これを見ていると、まさにここで書いて来たことが実証されているという感が強い。
 原油価格暴騰は資金の過剰流動性により惹き起こされたと言って良さそうだ。言葉を変えて言えば、金余り現象から生じた投機の行き過ぎによって齎されたわけだ。現下の石油需給、通常これを需給のファンダメンタルズというが、それは至って健全だった。オイルアナリストが不安と言っているのは主に中期的な先行き供給懸念だった。また、余剰能力についての浅薄な分析もそれに輪をかけることとなった。要は、投機の行き過ぎを助長するような見方、分析が横行したということだ。事態の沈静化を図らなければならない緊急時対応機関がその先頭に立ったというのも誠に皮肉なものだった。まさか投機筋との繋がりがあるようなことはないだろうが、あってもあかしくないような論理構成の報告を多発した。
 このような見方、分析、報告に釘をさし、原油価格暴落を招いたのが、サウジアラビアの増産だったし、民主党主導の米議会における投機の行き過ぎを抑制するための頻繁な公聴会の開催、法案の提出だった。勿論、石油が金融商品化した今は、株式市場、為替市場との連関性もあるが、それは程度問題の話で、これらの動きを過度に受けるようでは、世界経済のために問題であろう。何よりも、原油価格の急騰により、苦吟する消費者、零細企業、中小企業などへの配慮の無さ、それに今流行の言葉で言えば、「格差社会」の助長にも繋がってしまうようでは困るのだ。少し、腰を据えて何をしたら良いのかを真剣に検討して欲しいものだ。
 今また原油価格が回復気味だし、ドル価値問題、米のハリケーン、グルジア問題など強気要因になりそうなものにも事欠かない。以上のようば展開を冷静に分析し、一体何が問題だったのかを掘り下げて分析して、二度と史上最高値を更新させないように、更に原油価格を適正な水準へと誘導するように官民上げて努力すべきだろうと思う。

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石油価格は需給のファンダメンタルズから遊離し、異常な水準にまで上昇してしまった。
一刻も早く正常に戻ることを願いつつ、その異常な原油価格動向を書き止めることにした。

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